過去ログ - 女神
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867:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/10(木) 23:45:26.64 ID:9CBSQsp4o
 妹さんはそこで初めて僕の方を見つめて首をかしげた。

「あの、先輩・・・・・・あたしのこと気になるってどういう意味ですか」

「そのままの意味だよ。幼馴染さんの知り合いとして君を助けたいと思うけど、それとは別に君のことが異性として気になっている」

 今にして思えば、その時の僕はよくもそんな恥かしいことが平気な表情と口調で言えたものだと思う。兄友君のようなイケメンならともかく、普通ならこんな低スペックな僕が可愛い女の子に対して言うことが許されることではない。でもこのときの僕は必死だった。女に振られた真相を知ること、そして目の前の少女と仲良くなること。僕はその二つの目的だけは何としてでも成就させたかったのだ。

 とはいえこんなセリフを聞かされた妹さんの反応は気になったから、僕は少し話しを中断して彼女の反応を覗った。

 でも、妹さんは僕なんかがこんな告白めいたセリフを言ったことを別に滑稽に感じたりはしていないようで、馬鹿にするようでもなく真面目な表情で僕を見ていた。

「先輩。あたし、今のところ誰かと付き合うとか考えていなくて」

「うん、わかってる。それにどっちみち僕なんかじゃ君と釣り合わないこともわかってる。僕なんかが君みたいな子と付き合えるなんて考えてもいないよ。だから僕のことは気にしないでいいんだけど、それでもよかったら相談してくれないかな」

 その時、知り合って初めて妹さんがおかしそうに微笑んだ。

「先輩っておかしな人ですね。付き合いもしない女の子なんかに親切にしたって仕方ないのに」

 僕は彼女の微笑を呆けたように眺めた。その微笑みには僕に対する嘲笑めいた感情は少しもないように思えた。少しだけ飽きれている感じはあったけど。

 僕はその期を逃さず慌てて口を挟んだ。

「君が僕のことなんか相手にしてくれなくてもいいんだ。でも気になる女の子の力にはなりたいし、力になれるとも思う」
 その時、僕はもっと彼女の心配を取り除いた方がいいと思いついた。

「それと。僕が君に夢中になってストーカーみたいになることは絶対にないから。何だったら幼馴染さんとかに聞いてくれてもいい。僕はそういう男じゃないから」

 それからしばらく沈黙が続いた。僕はもう言えることは言ったのであとは妹さんの返事を待つだけだった。そして少しして妹さんがその沈黙を破った。


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