942:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/18(金) 23:26:21.66 ID:yfasADApo
妹が示してくれた好意に有頂天になっていた僕は、妹を助けている自分自身に生じるかもしれないリスクについてはこれまであまり考えてこなかった。でも一度それに気がつくと、今まで冷静に女を破滅させる手段について考察していた自分が、いかに考えが甘かったか理解できるように
なった。これまで妹の甘い好意の片鱗に夢中になっていただけだった僕は、女を破滅させることによって生じる自分のリスクに初めて戦慄とした。
僕は、女と兄君を別れさせることに協力すると妹に約束してしまっている。妹が求めれば、それがどんなに危険な道であっても僕にはもう断れないだろう。せめて、その手段が女に与えるダメージの大きさに妹がためらって、そこまでするのは止めようよと言ってくれるのを期待するしかなかった。
その時、突然僕は誰かに頭を叩かれた。
「こら。あんた何で昨日話の途中で生徒会室から逃げ出したのよ」
暗い考えから我に帰ると、副会長が僕を睨んでいた。
「あの後、幼馴染が落ち込んで大変だったんだよ」
「悪い。部活があったから」
僕はもう何度目になるかわからないその言い訳をもごもごと口にした。
「本当に情けないなあ、あんたは。別に生徒会の役員の子に告るのは自由だけど、告られた幼馴染さんに生徒会をやめるとか言わせるなよ」
「僕はそんなつもりは」
「じゃあ何で生徒会室に来ないのよ。何で幼馴染さんをあからさまに避けて彼女に気を遣わせてるの? あんた彼女が好きなんでしょ。振られたとしても彼女の気持ちを考えてあげなさいよ、先輩なのに情けない」
副会長も相当僕に言いたいことが溜まっているようだった。確かに無理もない。こいつは僕の代わりに学園祭の実行委員会を仕切ったり、僕を振って傷つけたと思い込んで落ち込んでいる幼馴染さんを宥めたりさせられていたのだろうから。
自分の悩みで精一杯だった僕も、その時は副会長に申し訳ない気持ちがあった。今の僕は自分の義務を放棄して妹のことしか考えずに行動していたのだから。
「君には悪いと思っているけど・・・・・・」
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