961:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/20(日) 23:53:00.89 ID:bkFoiF+Fo
翌朝、僕は登校中に妹と出会わないかと期待したのだけど、彼女の姿は見当たらなかった。そしてこれは幸いなことに僕は副会長にも遭遇することなく教室に辿り着いたのだった。
昼休みになって今日は学食か購買かどっちにしようかと迷いながら教室を出たところで、僕は教室の前で所在なげに佇んでいる妹に気がついた。
昨日の裏サイトのレスを思い出して気が重くなった僕は、無理に笑顔を装って妹に声をかけた。
「やあ。もしかして今日もお弁当を作ってきてくれたの」
妹は俯いたまま黙っていた。僕は慌てて言葉を続けた。
「ごめん・・・・・・冗談だよ。何か用事があった?」
妹は黙ったままだった。今にも泣きそうな彼女の表情が僕の目に入った。
僕は何か自分にもよくわからない衝動に駆られて妹の肩を抱き寄せた。後になって考えてみると、ヘタレの僕が同級生たちに好奇の視線に囲まれている状況でこんな思い切った行動を取ったことは自分でも信じられなかったけど、その時は目の前で震えている小さな姿の少女を泣かせてはいけない、誰かが守ってあげなければいけないという思いだけが僕をやみくもに突き動かしていたのだった。
典型的なリア充の妹を守ってあげるのは普通なら僕なんかに割り振られる役目ではなかった。でも、女と兄君や幼馴染さんと兄君の複雑な愛憎関係に巻き込まれている妹は、多分今ではこんな情けない僕しか頼る相手がいなかったのだ。
「屋上でいい?」
僕は周囲の好奇心に満ちた視線を自然に無視して、僕は黙って抱き寄せられている妹に話しかけた。妹は何も反応してくれなかったけど、僕は彼女を引き摺るように屋上に向かう階段を上り始めた。
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