962:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/20(日) 23:54:17.67 ID:bkFoiF+Fo
僕たちは黙って屋上のベンチに座っていた。僕は相変わらず妹の肩に手を廻して彼女を抱き寄せていた。妹は別に抵抗する素振りを見せるでもなく俯いているままだった。
そのまま数分が過ぎた頃、妹はようやく顔を上げて言った。
「ごめんなさい、先輩。せっかくの昼休みなのに心配させちゃって」
「いいよ。僕のことなんて気にしなくてもいいから」
僕は彼女の肩に廻した手に心もち力を込めた。妹はそれに逆らわず素直に僕の方に身を寄せた。
「今朝ね」
ようやく妹が消え入りそうな声でぽつんと話し始めた。
「お兄ちゃんと女さんが手をついないでた」
「・・・・・・そうか」
「それで・・・・・・お兄ちゃん、あたしに自分は女さんと付き合ってるって言った」
「兄君が君にそう言ったの?」
「うん。お兄ちゃん、お姉ちゃんのことも振ったみたいで」
妹は裏サイトを見るまでもなくリアルで女と兄君がいちゃいちゃしているところを目撃してしまったみたいだった。
僕はもう小細工じみた慰めの言葉を口にしようとは思わなかった。妹の兄君に対する深い想いは身に染みて感じていたから。
それは僕のこの先の人生にも影響するような決断だったと思うけど、その時の僕は妹を傷つける女や兄君から彼女を守りたい一心だったのだ。
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