過去ログ - 女神
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976:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/22(火) 23:47:48.36 ID:zPJD6ADzo
 泣き出しそうな顔で俯いていた妹の姿を見下ろした時、僕はそのことが自分にもたらすリスクは承知のうえではっきりと決断したはずだった。でも、あらためて自分がしようとしている行為が女や、場合によっては兄君の人生に及ぼす影響と、そしてそれを仕掛けたのが僕であるというこ
とが本人たちや世間に知られた時に僕が失うかもしれない物の大きさを考え出すと、やはり今でも僕は体が震えだすほど怖かったのだ。

 妹の好意の予感と、妹に好意を抱かれるおおもととなったであろう、僕が仕掛けようとしている行動への恐怖。僕は何度もそれらを天秤にかけてみた。昨日までならまだ引き返せたかもしれなかった。こんなにも妹を求めている僕だったけど、その僕の恋情さえ諦めさせるほどの恐怖が僕を襲っていたのだから。でももはや手遅れだった。昨日までなら止められたかも知れなかったことも、今日の妹のキスによって、もはや僕は引き返せないところまで連れて来られてしまったみたいだった。

 僕を怖気づかせまいと、妹が計算して僕にキスしたとしたら、彼女は恐ろしい女だった。でもそれは考えられなかった。女と兄君が付き合出したことを知り泣きそうになるほど動揺した彼女にそんな複雑な行動を取れたはずがない。そして何より、妹は甘やかされて育った自己中心的な思考の持ち主だったけど、それでも決して他人を顧みない思考過程や行動しか取れない子ではなかった。

 多分、兄君と幼馴染さんは妹を甘やかしつつも、根本的な部分では彼女に正しく接したのだろう。基本的には芯がしっかりした子だったせいか、どんなに甘やかされても妹はスポイルされなかったのだ。その証拠に彼女は自分の兄君への気持ちを抑えて、兄君と幼馴染さんの仲を応援している。そして、女の女神行為さえなければ、女と兄君との仲だって応援していたかもしれなかった。

 結局その夜は何も手がつかないまま、僕はいつの間にか寝てしまったようだった。結構冷え込んだ夜だったけど、興奮状態の僕は布団に入らずベッドに仰向けになったままいつの間にか重苦しい眠りに引き込まれていたのだった。


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