27: ◆JbHnh76luM[saga]
2012/02/16(木) 00:51:08.84 ID:pHM6U5gio
『System all Green. R.C.[plactice] Stand-by』
練習機のコックピットでシェルは自分用のデータディスクを挿入し、急いで起動させる。隣では朱い騎体の香具羅が起動している。バドルーンの騎体『天帝』はすでに起動を終えて6脚、2本腕という重RCを地面に降ろしていた。敵の姿はハンガーにさえぎられて見えないが、それはシェル達にとっても好都合だった。
『シェル、一体何をしている!』
仮想ウィンドウが開いて画面いっぱいに教官の顔が映し出される。ブリッジからの有線通信だ。ハンガー内でライノクラフトがムーバと繋がっているから出来た通信だ。すでに無線通信は妨害電波により遮断されている。有線通信の画面にも振動と同時にノイズが大量に混ざる。ムーバへの攻撃は止む様子もなく機関部が完全に破壊されるのはもはや時間の問題であった。
「行きます! 行かせてください!」
『馬鹿者! お前が行ったところでどうなるものではないだろう! 頭を冷やせ!』
「でもあいつらはおとうちゃんの仇なんです!」
『!? あいつらが例の謎の旅団か……』
シェルは強引に通信を切る。同時にライノクラフトを起動。横では香倶羅も4脚の姿を見せていた。
『シェル、無理はしないようにね!』
双子からの有線通信が入る。シェルは「大丈夫!」と答えながら練習機をハンガーから大地に降ろした。
同時にムーバの動力部が破壊され、完全に沈黙する。バドルーンはすでに動き、逆面に回り込もうとしているところだった。シェルは急いで追いかけ、バドルーンの天帝に有線回線を開く。
「バド兄ちゃん!」
『シェルか。敵は2機だ』
「2機?あの時は4機いたはずだけど……」
『他に機影もない。どうやら2機だけで急襲するつもりだったらしいな』
『2機とはいえ、敵の強さは覚えてるでしょ!? 無理するべきじゃないわ』
双子の通信が割り込んできた。香倶羅が追いついたのだ。
『しかしな魔夜香。そうも言ってられないみたいだぜ』
バドルーンの言葉にシェルが前方を見ると、
「こっちに気づいた……」
『やるしかないみたいだな。あの時の屈辱、返させてもらおう!』
天帝がずいっと1歩を踏み出す。脚部に装備してあるウェポンラックからハルバードを取り出す。
ここまできてしまえばもう後戻りはできなかった。香倶羅も覚悟を決めたように剣を抜く。シェルも同じように剣を抜いた。
『シェルはムーバの護衛をお願い。さすがに敵と直接対峙させるわけにはいかないわ』
「でもっ!」
『シェル、言う事を聞け。お前は今日ライダー免許を取ったばかりだ。まだまだ実戦経験が少ない。お前の気持ちはわかるが、ムーバの護衛も大事な仕事だぞ』
『シェル、お願い』
3人から説得されてシェルはやむなくムーバの護衛を受ける。とはいえ、この判断はシェルにとっても理解できた。シェルの騎体はあくまで練習機。シェルに合わせて作られたライノクラフトではないのだ。スペック的にもバドルーンや双子の乗るそれよりも圧倒的に低い。仮にシェルが不世出の天才ライダーだったとしてもこの騎体で勝つことは不可能に近いのはわかっていた。
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