過去ログ - 妹「悪魔を召喚して、お兄さまと恋人になるわ!」
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80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/02/14(火) 09:53:30.63 ID:IsXBpRjDO
〜 家、玄関 〜

妹「それじゃ、行ってくるわね」

兄「行ってきます」

アスモ「うむ、行ってらっしゃーい、じゃ」

妹「学校が終わったらすぐに戻るからねアスモちゃん」

アスモ「う、うむ」

兄「仲がいいなあ二人は、まるで姉妹みたいだ」

妹「もう! お兄さまったら」

アスモ「あ、あは……は……」

アスモデウスが苦笑いを浮かべる。
そして、兄と妹の二人は学校へと向かって歩きだした。
アスモデウスは玄関口で二人の背中が見えなくなるまで待った後、家の中へゆっくりと戻った。

アスモ「はあ、疲れたのう」

バタン、と後ろ手に扉を閉めて、アスモデウスは息を吐き出す。

アスモ「妹が暴力的で無神経だとは嫌というほど知っておったが、まさかアレほどとは……」

朝の事を思い出してアスモデウスが眉根を寄せる。
結論から言うと、妹はアスモデウスを虐待するつもりは皆無だった。
しかし、持って生まれた怪力と大雑把な性格が合わさり、妹の行動は一つ一つが非常に破壊的なものへと変貌していた。

アスモ「アレではこっちの身がもたん……しかも」

アスモデウスは右手を上げて、頭上に魔力を集中する。
そして、魔力が限界近くまで高まったのを見計らい、背後を振り返って玄関の扉へと魔力の塊を投げつける。

ポフン、と毛玉をぶつけたような気の抜けた音が響いた。

アスモ「致命的に魔力が欠乏しておる、どうしたものか」

アスモデウスは無傷の玄関扉を見て腕を組む。
今の状態でも子供だまし程度は出来るが、とにかく選択肢が少ない。

アスモ「魔力補給……魂か」

言いながらアスモデウスは眉をひそめた。
魅了状態になっている今の妹からならば、簡単に魂が手に入るかもしれない。
というか、それで目的達成なので、魔界に悠々と手を振って帰れる。

アスモ「むう……」

しかし、なんとなく、なぜか、その選択をすることに反発している自分がいることをアスモデウスは胸の奥に感じていた。

アスモ「……情が移った? いや、まさか」

──憎みこそすれど、情が移るような事は無い。

だが、そこまでアスモデウスが考えたところで、脳裏に記憶の影が浮かびあがってくる。
それは昨日の風呂場で見た、怒り、わめき散らす妹の姿。
湯船の中と外を上下運動させられていたアスモデウスからは意識がもうろうとしていた事も手伝って、妹の姿もおぼろげである。

しかし、最後に沈められる直前、頭を引き上げられて向かい合った妹の顔を、アスモデウスは確かに覚えていた。
妹の表情は、怒りとも、慟哭とも、そして嘆願ともとれる、世の様々な不条理に追い詰められた者だけが見せる表情で──

アスモ「ええいっ! やめじゃやめじゃ!」

アスモデウスは頭を乱暴に振って思考を中断した。

アスモ「何が救いじゃ! 何が神じゃ! 馬鹿らしい馬鹿らしい馬鹿らしいッ!!」

アスモデウスは溢れ出てきた怒りにまかせて暴れた。
体力が切れるまで廊下で暴れた。
冷静沈着な普段の姿からは思いもよらない行動だった。

でも身長や腕力の問題から、床に敷いてあるマットをベチーンベチーンと上下させるような、実にほほえましい暴れ方だった。


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