過去ログ - 妹「悪魔を召喚して、お兄さまと恋人になるわ!」
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82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2012/02/18(土) 00:07:55.09 ID:EeqruQHDO
……………………

アスモ「はぁ……はぁ……」

マットのホコリもすっかりと落ち切った頃になって、やっとアスモデウスは暴れるのをやめた。

アスモ「何をやっとるんじゃワシは……」

馬鹿馬鹿しそうに吐き捨てると、アスモデウスは掴んでいたマットを放り投げ、廊下の床に寝転がる。
そのままアスモデウスは仰向けになり、廊下の白い天井を見ながらため息をついた。

アスモ「まったく、ワシは本当に……ん?」

そこでアスモデウスが何かに気づいたように首を横へ、廊下の壁際の方へと動かした。

アスモ「袋? ……ああ、妹の体操着袋か」

体を起こして手を伸ばし、廊下の壁にもたれかかる袋を取る。
袋の口を開いてアスモデウスが確認すると、中には体操着が詰め込まれていた。

アスモ「兄……いや妹か、忘れていったようじゃな、まったく」

おそらくは出かける時のやりとりの後、そのまま忘れて出ていったのであろう。
アスモデウスはそう考え、呆れたように肩を小さく上下に揺らした。

アスモ「……」

そしてアスモデウスは廊下に座ったまま動きを止める。
見つめるのは手に持つ妹の体操着袋。
だがすぐに体操着袋をその場に放り出してアスモデウスは立ち上がった。

アスモ「ふん、妹の事なぞワシには関係ないわ」

そしてアスモデウスは居間へ向かって歩き始める。

アスモ「だいたい、ワシは魔神じゃぞ? なぜ人間ごときに……」

ぶつぶつ言いながら歩を進め、フローリングと絨毯が半々の床を形成する居間へと到着。
しかし、何かをしに来たという訳でもなく、アスモデウスは視線を部屋にさまよわせる。
気分をまぎらわせる物でもないかという、特に考え無しの仕草だったが、それは思わぬ成果を上げた。

アスモ「む? メシか」

部屋の真ん中にはテーブルと椅子が数脚あり、さらにテーブルの上にはラッピングされた皿がチラホラと見える。
アスモデウスの身長よりもテーブルの方が高いようで全容はよくわからないが、ラップをしてある所を見ると、どうやら食べ残しという訳でもなさそうだった。

アスモ「ワシの分? いや、まさか……」

アスモデウスはテーブルに近寄り、腕をかけてテーブルの上に上半身を載せる。
そこには肉をメインにした、朝にしてはやや重い食卓が広がっていた。
そして、ラップの上には一様に『アスモちゃん』の文字。

アスモ「……昨日のカレーはどうしたんじゃ、まったく」

大鍋のカレーが一日で無くなるなんて事はない。
すぐに出て来た結論に、アスモデウスは眉間にシワを寄せた。

アスモ「まったく、あやつらは……まったく……」

アスモデウスは『自分のため』に用意された朝食から一切れの肉を素手でつまむと、口に放り込んでテーブルから降りた。

アスモ「……魂の契約前から貸しを作るのは不利じゃからの」

そして誰に言うでもなくアスモデウスは口に出すと、そのまま居間を進み廊下を抜け、途中で妹の体操着袋を拾うと玄関を出ていった。


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