117:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 19:48:48.40 ID:vAi26PND0
ニヤニヤと笑いながら、また上半身を起こした彼女のことを嘗め回すように、上から下まで見つめる。
しかし彼は、肝心の彼女に反応がないのを少しの間沈黙して確認すると、困ったようにまた頭を掻いた。そしてマントの内側に縫い付けられていたポケットに手を入れ、しばらくガチャガチャとかき回し、中から親指の先くらいの金属製の薬箱を取り出した。
「ほいっ、と」
軽くそう言って、彼は無造作にカランの右腕を掴んだ。そして彼女が抵抗するよりも先に、簡単に捲かれた包帯を外してしまう。
「随分とここの連中は手当てがヘタクソなんだなぁ。べっぴんさんが台無しだ」
おどけたように言ってから、彼は赤く、広範囲に膨れ上がったそれを呆れたように見下ろした。水ぶくれは破れてはいないようだが、初期治療が悪かったのか拡散してしまっている。
彼女の手を片手で支えながら、もう片方の手で薬箱を掴み、蓋を歯で外す。そして中身をあんぐりと、舌先ですくって口の中に入れた。暫くそれを租借して、ベッ、と手の平に吐き出し。
そして彼は、それをカランの火傷部に塗りたくった。
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