193:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:18:22.65 ID:oNd+Ad/T0
溜まらず鼻を抑えたカランの目に、目前の男の口元……僅かに整った笑みを浮かべた口元が裂けそうな程強烈に、しかし一瞬だけニヤリと動いたのが見えた。
「ルケン様。ご足労、度々、度々かしこみまして候」
監査官の一人が頭を下げながら口を開く。しかし少年……十二、三ほどにしか見えない彼は監査官を一瞥もしなかった。もう一度鼻を鳴らし、侮蔑をこめた瞳で廊下の突き当たりを見てから、視線をカランに送る。
……目が合ってしまった。
「……痛っ……」
途端、網膜の裏に強烈な臭気を浴び……カランは鈍痛を感じて目を抑えた。
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