245:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:23:30.82 ID:87ru5DuQ0
まだ、溶けた肉と皮はポタポタと垂れ落ちていた。意外なことに血は殆ど出ていなかった。焼ききられてしまったのだ、蒸発して、それでおかしな形で癒着されてしまっている。右目は完全に破裂し、眼窟からは真っ黒に焦げた骨が覗いていた。その強烈な火傷は右顔から右頭頂部、そして左鼻を越えるところまで広がり、あまりの熱量を至近距離で浴びたがために、左目さえも白濁していた。
意識を失っているゼマルディを、たっぷり数分間は鑑賞した後。ルケンは興味を失ったように肩をすくめて、彼の無事な方の髪を掴んで顔を引き起こした。
「やあ、おはようマルディ」
爽やかな朝、とでも言わんばかりの軽い口調だった。
答えることが出来ずに全身を痙攣させている、自分よりも年上の男の髪をモノのように掴みながら、ルケンは呆れたように首の骨をポキポキと鳴らした。
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