297:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/12(日) 20:21:12.52 ID:z5UY+Nzb0
カランの目は血走っていた。
彼女は思わず包丁を肩に刺したまま後ろ向きに倒れこんだルケンに向かって、拳を振り上げていた。
泣きながら、震えながら。
それを振り下ろそうとした時、止めたのはゼマルディだった。血を口の端から垂れ流しながら瞳をカランに向け、何とか立ち上がり……そして彼女の髪を鷲掴みにして引き寄せたのだ。
ルケンが包丁を抜き取り、噴き出る自分の血を何とか押さえようとする。ゼマルディはそれを一瞥し、何かを喚いているカランを片手で羽交い絞めにしたまま、背後の壁に唾を吐きかけた。それを何度も繰り返し、一部に向かって頭から飛び込む。
それを見て、慌ててルケンが無事な方の手で肉切り包丁を彼らに向かって投げつけた。
回転しながら飛んだ包丁が、ゼマルディに抱えられたカランの左太股を貫通したのと。
二人が空間の繋ぎ目に転がり込んだのは、数秒も経たない間のことだった。
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