327:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:38:18.85 ID:3SORN3Q00
ここはサバルカンダと呼ばれるドームの下層一階だった。相当に巨大なドームだが……いわゆる、スラム街だ。そう。ここはスラムだけで構成されている。
まるで蟻の巣のように汚らしい建築物が折り重なって形成されており、人口はゆうに三十万を超える。
一つの理由は、ここは半円形上の建物ではなく、巨大な塔のような形状になっている都市だということがあった。単純に収容するスペースが広いのだ。
もう一つの理由は、このドームの生命維持機関……つまり空調などは動作をしていないということがあった。つまり、機関を制御する政府が存在しない。それゆえに市民登録も必要ない。必然的に訳ありの人間達が転がり込む場所だ。
加えて、ここは他のドームからかなり離れた場所にあり交通の便も全く整っていないと言う事実も、その閉鎖的な滓を助長していた。
隠れた最大の利点はそこだった。
もしも見つかってしまったとしても、人間に紛れてしまえばそう簡単に手出しは出来ないだろう。
そう、考えていたのだ。
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