345:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:48:45.69 ID:3SORN3Q00
少女の手を握っていた大きな手……そこから力が抜けていき、毛布から抜き取られると力なく床に落ちた。
大分長いこと、彼は沈黙していた。
カランはぼんやりとした目で俯いているゼマルディを見ていた。
また少しして、彼女は羽根を鳴らしながら言った。
「……嬉しいなぁ……」
それは、呟き声だった。
ゼマルディは叱られた子供のように肩をすぼめて顔を挙げ……しかし、妻が発した言葉の意外性に怪訝そうに首をかしげた。
「ゼマルディは、どこにもいかない……」
「……」
カランは薄く目を閉じると、手を伸ばして彼の腕を掴んだ。そして何度か手を彷徨わせ、自分の倍はあるかというほど大きな男の手を掴んだ。
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