43:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 16:42:30.46 ID:A45p+aH70
愛寡は、既に気絶しそうなほど真っ青な顔色になっていた。下を見る勇気が出ないのか、弟子の胸に顔を押し付けている。
そんな師の様子に気づかないのか、こともあろうことに爪は、彼女を支えている一本の腕を外して振り上げた。その拍子に愛寡のからだがぐらりと揺れ、驚いて目を開けた愛寡の眼前に、上空二十メートル以上の高さから自由落下している、その圧倒的高所の光景が飛び込んでくる。
肌を刺す冷風と、風圧ではっきりと目を開けていられないのが、彼女の恐怖を倍増させた。
悲鳴を上げることも出来ずに、愛寡は目を閉じ……その意識がどこかに引っ張っていかれるようにブラックアウトする。
爪は師が手の中でぐったりしたのを見て、慌てて振り上げた手で頭上、その空中をノックした。今度は下降を始め。
そして彼は、気絶した師を抱えながら、粉塵と合成コンクリートの地面を砕き散らす音。地面を靴の裏から溶けたゴムと白煙を噴き出しながら、実に数十メートルも滑り……両足のブーツでしっかりと。
目的の料理店の入り口前に着地をした。
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