56:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 16:53:07.48 ID:A45p+aH70
その誰もが、魔法使い。
手に小さな経典を持ち、教会長の話に聞き入っている。
眼下の愛寡が、気づかれないようにかすかに欠伸をしたのを見て、爪はクスリと笑った。
――あの人は……。
そう、あの人は。
本当に……優しすぎる。
だからこんなに利用されるんだ。
だから、利用を……されてしまうんだ。
師は、素晴らしい人間――いや、魔法使いであるということは爪は頭の中で理解していた。
しかしそれ以上に、あの人は周りの意見に回されやすい性格をしているということも、うっすらと彼は理解していた。
何と言うか……上手く喋れないことも起因しているのだろうが、気が弱いのだ。いつも疲れたような、困ったような笑みを浮かべている。
こんな自分の言うことに素直に従ってくれる人間なんて、あの人が一番最初だった。
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