91:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/09(木) 19:20:50.21 ID:vAi26PND0
3 白い一族
羽が、生えなかった。
彼女にはいつまで経っても羽が生えなかった。
もう生えてもおかしくはないはずなのに、その白い背中には兆候である青痣さえも浮かび上がってきてはいなかった。
「おかしいねぇ。どうしてお姉ちゃんはダメなんだろう?」
大浴場。そう呼ばれている湯煙で真っ白になった屋内の個室で、青緑色の湯にふくらはぎまでを浸しながら、十四、五歳ほどの少女が口を開いた。
朝方なので大浴場には二人の少女以外に人影がなかった。十メートル四方ほどもある、岩に囲まれた湯場。お湯を手で掬い、問いかけられた少女がパシャッと宙に跳ね上げる。
「んー?」
聞いていなかったらしい。
最初に声をかけた少女は呆れたように肩を落とし、軽く首を振った。
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