11:まっちゃ
2012/02/11(土) 13:01:30.81 ID:UPSew1HJ0
落下してきた鉄柱を避けることもせず反射的に目を固く閉じる。
なにか生温かいものが全身にかかった。
きっとこれは自分の血だろうと思い、遅れてやってくる激痛に歯を食いしばろうとして――
―――あれ?
可笑しい。ナニが可笑しいって、全てがだ。
いつまで経っても痛みがこない。あんなものに体を貫かれれば、激痛どころでは済まないはずだ。
現に頬をゆっくりと伝っていく生温かいものは紛れもないソレで。
訳のわからない出来事に目を薄く開けば――
そこには、絶望があった。希望や期待など、微塵も存在しない世界。
それが少年の目の前にあった。それは、少年がいちばん恐れていた出来事で
コンクリートの上を赤が浸食していく。
じわじわと滲み出るソレは自分のものではなく
鉄柱が貫き、それに突き刺さっているのは自分ではなく、
それは
少年のよく知る顔で
少年の中の大切な人で
少年が思いを寄せていた
――少女だった――
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