4:まっちゃ
2012/02/08(水) 22:58:58.63 ID:nClwSbzn0
いつまでもこんな時が続けばいい―――
そんなほんわかとした考えが、頭に浮かんだ。
―――そのとき
何かが自分の中で引っ掛かった。でもそれが何なのかが分からない。
それはまるで、騙し絵を見ているような、そんな感覚。
あるいは、当たり前すぎて逆に気付けないような。
――少年がソレに気付くのに、あと1分27秒――
公園の入り口まできたとき、抱きかかえていた猫が少女の腕の中からするりと抜け出してしまった。
慌てて追いかけていくその少女の後ろ姿を、少年はぼんやりと見つめていた。
――少年がソレに気付くのに、あと43秒――
逃げ出した猫を捕まえようと、早足で駆けていく少女。
何気なく視線を横にやると、視界の端に、歩行者用の信号機が映った。
色は青。これがもし赤だったなら、大変なことになっていたかもしれない。少年はホッと息をついた。
神様というものは、そこまで残酷ではない。
―――けれど
神様というものは、そこまで情けをかけてくれる優しいものでもない。
少女が横断歩道に飛び出した瞬間、
信号機が
赤に変わった。
――少年がソレに気付くまで、あと ――
30Res/22.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。