過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします
[saga]
2012/07/19(木) 06:11:10.71 ID:l8/0rSCR0
「久し振りね。忙しかった?」
"奇跡を必要としている子は大勢居るからね"
巻き髪に学生服の少女と、白い犬や猫を模した様な形を取る、人語を解する獣の遣り取り。
無垢な少年を思わせる声音に顔を綻ばすマミとは対照的に、ほむらは不快感を隠し切れずにいた。
折角の砂糖菓子と茶葉の残り香が、獣臭さで台無しだ。
自然、カーペットの上をとことこと歩く長い耳の獣――キュゥべえへと向ける視線も険しい物となる。
"君も魔法少女なんだね"
「……」
「キュゥべえが契約したんじゃないの?」
"それは間違いないんだけど"
ほむらの穏やかでない胸中に気付く様子も無く、気安く話し掛けてくる地球外生命体が憎らしい。
この白い獣はマミが魔女を討伐したことを知り、グリーフシードの回収目的で部屋を訪れたのだろう。
「もう。忘れちゃったのかしら」
"少なくとも、僕が知る限りでは覚えがないね"
「そういうこと言わないの。相変わらずデリカシーが無いんだから」
"仕様が無いじゃないか"
ほむらの眼前で行われる会話は、表向きには女心を解さない男友達を嗜めるマミ、の構図であったが
実態は、心の無いロボットに向かって延々と空虚なコミュニケーションを試みる不毛な行為だ。
このペアは、ほむらの精神衛生に宜しくない。
常からの応酬の度に、人間をエネルギーを搾取する道具としか見做さない狡猾な宇宙人に憎しみや怒りを憶え、またその一方では
四つ足の化生が自らの友であると信じて疑わないマミの、純粋な少女故の痛々しさに対する苛立ちが、胸の内に沸々と起こってくるのだ。
ほむらには、一人と一匹の間にある埋め様のない深い溝と隔壁の向こう側にある互いの住処の温度差が、見ていてとても辛かった。
実に居心地が悪い。
部屋に居るのがマミだけならまだしも、これ以上長居など出来るものか。
「お前の目当てはこれでしょう?」
ほむらは半身のまま小動物をちらと一瞥し、ポケットに納めていた黒ずむグリーフシードをぞんざいに、
種に積もった負の念諸共に獣へとぶつけるくらいの気で投げつけてやる。
キュゥべえは飛来した黒い球体が顔面に当たる直前、身の丈よりも大きな尻尾で巧みに受け止めると、背に刻まれた印の中へと取り込んでしまう。
果たして満足したのかゲップを漏らす四足獣に、ほむらは内心で軽く舌打ちし早々に帰宅することにした。
マミがキュゥべえに関心を向けている間に、玄関まで来て靴を履き室外へと出ようとするほむらだったが、
「こぉら。黙って帰らないの」
ドアノブに手を掛けた処で先輩風を吹かせたいお姉さんに気付かれ、呼び止められてしまう。
……気に入らないことに、頭でっかちのダックスフントもちゃっかり彼女の肩に乗って付いてきていた。
パタパタとスリッパを鳴らし、軽く駆け寄ってくるマミへの気まずさとキュゥべえへの苛立ちが重なり、
益々外へと駆け出したくなるほむらだったが、置いてきぼりにされた上級生のちょっぴり恨めしそうな目線がそうはさせなかった。
そんなに慌てて帰らなくてもいいじゃない? とでも言いたげだ。
「急いでるのよ」
「せめて見送りくらいはいいでしょ? 折角のお客様なんだもの」
マミが来客を放っておく方がおかしいのだが、精神的余裕の無いほむらにはどうにもこの手の気遣いすら重く感じる。
悪意は無いだけに断り難い。兎にも角にも肉体及び精神への束縛は止めて欲しいと切に願うほむらであった。
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