過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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4:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/11(土) 17:48:02.23 ID:SSZUNYll0
退院し自宅に戻ったほむらは、休息も程々に身支度を整え、ソウルジェムを装着し外へ出た。
時間を巻き戻した以上、行動は速やかに開始せねばならない。
ほむらが見滝原中学に転入するまで、今日から一週間程度ある。
まどかはこの時点では未契約なのだが、ほむらが妨害工作を仕掛けないと、
毎回転入日までにはキュゥべえと契約し、魔法少女になってしまう。

この件に関して、ほむらは非常に頭を悩ませていた。
ほむらから見ても、まどかの「人の役に立ちたい」の度合いは、常軌を逸していると思えた。
まどかがキュゥべえと契約する理由、願いの内容は毎回異なる。
それはまどかにとっては魔法少女になり、街の人々を護ることこそが目的で、叶える願いの内容自体は二の次だからだ。

加えて生来の人の好さと人一倍の優しさ、未熟さに付け込まれ、キュゥべえにあっさりと篭絡されてしまう。
キュゥべえに隙を衝かれ、まどかが契約してしまう度に、ほむらは悔しさに歯噛みした。
そういえば、まどかは小動物やぬいぐるみが好きだったわね、とほむらは思い出した。
実際、まどかの部屋には大小様々のぬいぐるみが所狭しと並んでいる。

改めて列挙するにつけ、まどかが契約し易い要素が揃い過ぎている。
一瞬たりとも気は抜けない。目を離したら契約されると思え。
ほむらとしては、常に監視の目を光らせておく必要があるのだが、
過去に実践した結果、痛手を負った苦い記憶があり、以来、夜間の見張りはかなり自重している。

『あ……暁美さん……え、えと、……ほむらちゃん、で、いいの?
あの、あのね? 気を悪くしないで聞いてね? もしかしたら、その、わたしの見間違いかも知れないけど、
……わたしの部屋の外、あ、わたしの部屋って2階にあるんだけどね、夜中に窓のところに、
ほむらちゃんによく似た人が立ってて、奇跡がどうのって……え? ほむらちゃんで合ってる?
そ、そう……なんだ。…………。えぇと、あの、それは、……良くないと、思うの……。
ちょっと怖かったし、あ、いや、違うよ! い、今は、平気だよ……?』

望んだのは、まどかの幸せ。
失ったのは、まどかの信用。

いつかの時間軸の転入初日、しどろもどろになりながら、必死に言い繕うまどかの脅えきった表情を前に、
ほむらが死ぬほど後悔したと同時に、一般常識の大切さを学んだ瞬間でもあった。
親を呼んだり警察に通報しなかったまどかに、ほむらは感謝すべきである。

ともあれ、ほむらのまどかに対する執着も、常識の範疇を逸脱している。
まどかの「誰かの役に立ちたい願望」も軽く霞むくらいには。


閑話休題。
陽の当たる並木通りを暫く歩くと、丁字路に出る。
ここから左に行けばまどかの家があり、右に行けば市街地の中心部へ向かう大通りと交差する。
ほむらは数瞬だけ立ち止まり、左前方の彼方へと視線を向けたが、すぐに反対方向へと進路を取った。

斜太興業(しゃふとこうぎょう)。
市街地中心にほど近い一等地に、その事務所は構えている。
パンチパーマやサングラスに金バッジ、派手なダブルスーツを着込んだ、所謂ソッチ系の方々の仕事場だ。
当然、ほむらの様な女子中学生がお邪魔する場所ではない。

事務所脇の人目に着かない路地裏で、ほむらは一度立ち止まり、魔法少女へと変身する。
そして素早く盾の砂の流れを遮断し、時を止めた。
景色は反転し、空間を支配するのはほむら一人になる。
止まった世界の中、誰にも見咎められぬほむらは、人相の悪い見張りの横をすり抜けて事務所へ乗り込む。

厳つい男達でごった返した事務所内のロッカーを、慣れた手付きで物色する。
一部分が錆でやや赤茶けた鉄扉の奥には、無造作に突っ込まれた日本刀が数本あるが、
ほむらは長物には目もくれず、独特の光沢を放つ銀のフォルムを手に取った。

デザートイーグル.50AE。
専ら狩猟目的などに使用される、大型、大口径、大威力の自動拳銃である。
装弾数7発、重量2053グラム、有効射程距離80メートル。

重量があり扱いも難しいが、非力なほむらは魔法で身体能力を強化した上で、安定した体勢から撃つことを心掛けていた。
使い所を選べば、やや強力な使い魔程度ならこれでも倒せる。
差し当たっては、キュゥべえの排除にこれを使う。


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