過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします
[saga]
2012/02/29(水) 21:05:16.37 ID:fRW4icTG0
織莉子は周囲と接する際に、自らが何者であり、相手とはどういった関係であるかを都度自問し、
その上で美国織莉子らしく振る舞い、また相手との交流を損なわぬ様にと努めてきた。
まず、常に己の立ち位置を確保し、次に自他の安全に注意を払う。それが織莉子の処世術だったのだ。
だが、目の前の相手に、その遣り方は通用しないだろう。
まず、織莉子に危害を加える可能性を否定出来ない。
織莉子自身も、最早自分を自分らしいと思えずに居る。
故に、どうにもこうにも上手い遣り口が分からず、……正直に知りたい事柄を訊ねてみた。
「あなたは、……私をご存知なのですか?」
緊張で上手く口が回らずに一度言葉を切り、改めて問い掛けてみる。
変な言葉遣いになってやしないだろうか、などと場違いな心配をする辺りが、織莉子らしいといえばその通りだ。
「人違いと言った筈よ」
「いいえ、それは嘘です。……若しくは、誤りです」
名前を呼ばれたのは、織莉子にしてみれば自明の理だ。
だから織莉子は、最初の質問は切欠に過ぎず、何か話が繋がればそれでいい、と思っていた。
そして少女は、またもや人違いという単語を口にした。
……彼女は、明らかに嘘を吐いている。
咄嗟にそのことを指摘して、責めるのが本題ではない、と思い直しフォローをした。
「私の顔を見た時に、ご自分で仰られましたよね? ……美国織莉子、と。私を、確かにそう呼んだ」
返答に詰まる少女の動揺が、二又に枝分かれした後ろ髪の揺れからも伝わる。
少女は、白女の生徒ではない。織莉子は記憶力には自信があった。が、それを人前で堂々と自慢したりはしなかった。
柔らかい空気を醸し出し、互いが話し易い環境を演出する。織莉子がこれまで無意識に行ってきたことだ。
「不躾で申し訳ありませんが、宜しければお名前を教えて頂けませんか? それで思い出せるかも知れません」
「……話はそれだけ?」
「え……」
しかし、その話は強引に打ち切られる。
そこにあるのは、明確な拒絶の意思。緑地公園に続き、拒まれるのはこれで二度目。
苦し紛れの嘘を吐いてまで、織莉子を避ける理由とは一体何なのか。
「悪いけど、今は急いでいるの。話なら後にして頂戴」
それは困る。後にしてと言い、その実他に何も喋ろうとしない少女と、いつまた会えるか分からない。
「ま、待って! ……待って下さい!」
「……」
「行かないで」
それでは駄目なのだ。今このまま去られては、織莉子は織莉子を保てなくなる。
今の織莉子には、決定的に何かが足りないのだ。それが彼女にも分かっているから、焦りを生む。
再会の目途が立たない限りは、心休まることなどない。
だから何でもいい、冷めた目の奥底に、ぐらぐらと煮え滾る憤怒の熱を宿すこの少女と、次また会するという誓いを交わさねば。
「あなたは誰なの? 私があなたに何かしたの? 教えて!」
そんな少女の目が、織莉子の問い掛けに対し、一瞬にして鋭さを増す。
まるで大型の猛禽類や肉食獣が獲物を狩る一瞬に放つ様な、化物じみて桁違いの殺気が細身の体躯から迸る様にして放たれる。
恐らく織莉子の首を絞めた時と同等の物であろうソレは、筆舌に尽くし難いほどの凄まじい形相で、織莉子もこれには言葉を失った。
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