過去ログ - アンリ士郎「汝の欲す所を安価にて為せ!(キリッ」一同「へー」
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418:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/05(月) 01:12:36.91 ID:WRZWdCQu0
「……おなか空いてる? 何か頼もうか?」

 彼は溜め息とともにそう聞いた。
 煙草に火を点けながら彼は手を振った。

「いえ、それに早く仕事に戻したいのですけど」

「え? お夕飯も食べないの?家でご飯の準備もしちゃってるんだぞ?」

 ご飯炊いたのに。三合も炊いたのに。
 夕飯と明日の朝ご飯の分。そう口にして縋るように目をくれる彼に、私は黙っていた。

「……あの子の主人はどうしたのです?」

 私は諦めの境地に佇み、酒棚の上で縮こまっている猫を見た。

「……」

「……」

「……さあて、どうかねえ。分かった。元の飼い主に聞いとくよ」

 彼はさあてと呟くと、煙草を灰皿に押しつけて立ち上がった。
 秋物の服を詰めた紙袋から一枚シャツを取り出して手早くそれを羽織る。

「じゃ、仕事の話を始めましょうかね」

 彼は明るくそう言った。
 何がそういうことなのかは分からなかったが、私は特に質問しなかった。

「……速やかに頼みますよ」
「おし、分かった」

 じゃ、と掌を下げて書類を広げ説明を始める。
 その上に、いつの間に下りて来たのか黒猫のレンが私たちを挟むようにテーブルの上に座っていた。


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