過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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779:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/04(月) 00:57:48.03 ID:ouorT+Ut0

いや、神などいない。この街は、自分を取り巻くクソッタレな世界は、全て科学で出来ている。

化学記号と文明の叡智で構築された無機質な世界に置いて、神や仏は人文科学にしかならない。

そもそも彼らがやっている様に、十字架かアッラーに向かって拝んでいるなら、こんな目には合わなかった筈だ。

だからそれらを否定して、自分の思考を停止させて、拳を振るい始めた。


丁度その頃からだろう。

C級映画に凝りだしたのは。

自分が過ごしている、血飛沫と肉片と恐怖で構築された死の臭い漂う現実の世界から、
死体の人形も特殊メイクも下手糞で現実味が無さすぎる偽物の世界へ逃亡したかったのだろうと思う。

そうすれば、自分の世界がただの下手糞なC級映画の一コマだと思えた。

―――自分は映画の主役。自分が潰した頭の主は、人形となってそこに倒れている。プラスチックの人形はやけに暖かく、血生臭い。だが、この人形はそう言う作りなのだ。―――

そう妄想すれば、楽だった。

自分の現実は映画のスクリーンの出来事。現実じゃない。

現実なら、ここまで酷くない。

現実なら、人殺しなんて物騒な事、14にもならない幼気な少女にやらせるわけがない。

現実なら、ここまで精神がぶち殺される程の地獄に叩き込まれる筈がない。

現実なら、自分の脳に誰かの精神を植え付けられる事は無い。

現実なら、自分を産んでくれた親に捨てられるわけがない。

現実なら――――――



暗い暗い夜の帳の森の中をひたすら、ひたすら、ひたすら、ひたすら走り続ける。

帰る家も無く。行くべき道を知らず。ただ目を瞑り、耳を塞ぎ、口を開けず、目で見ず、耳を貸さず、何も言わず、ただただ、童は暗い暗い夜の森を走り続ける。

足が棘に刺されようとも。巨木にぶつかろうとも。枝に皮膚を裂かれ、蛇に噛まれようとも。

そして自分の走っている道が実は、真っ赤な血の海だったとしても―――。



ある日だった。

一人の青年が現れた。

初めて会ったのは、道を聞かれた時だった。変な奴だと思った。かび臭い変な恰好を纏った傷だらけの長細い体の彼は、どこからどう見ても大道芸人だった。

決定的に運命が変わったのは、2回目に会った時だ。

仲間の麦野を倒され、怒った自分が彼を見つけ、対峙した時だ。

戦いが始まった時は怒りに任せて拳を振るっていたが、徐々に冷静さを取り戻して戦っていた。だがどちらにしても全く歯が立たなかった。完敗だった。

その時喰らった技は今でも覚えている。見事だった。

清々しいほどに強かった。今まで走り続けてきた自分が馬鹿だ。自分の妄想が紙屑の様に破れた。そして今までにぶつかった事が無い崖にぶち当たった思いだった。それは決して苦痛ではなく、むしろ心に火を灯された。


―――強くなりたい…!


その思考が、一方通行になかった精神が、徐々に自分にある変化をもたらす事になる。


―――しかし、まずどうすれば強くなれるのだろうか……? どうすれば崖を登れるのだろうか?


そしてその時、走り続けていた足が止まった。

ひょんな事から彼と親交を深め、人斬りである事を知り、彼が殺す相手の過去と未来を奪う覚悟を持って斬る事を聞いた時だった。

彼はある女の為だけに人を斬り殺してきたと、言った。


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