過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/02/04(月) 01:01:04.63 ID:ouorT+Ut0
夜だった。
あの時は月明りが眩しい夜だった。
満月の夜だった。
いや、少し欠けていた。
十四夜の待宵月が、宝石の様に輝いていた。
怖い怖いと泣きながら家路への道に迷う童を導く月の光だった。
童は涙を拭き、月の明かりを道標にして棘の森を進む。
鑢七花は月だった。絹旗最愛と言う年端の行かぬ童を誘う待宵月だった。
――――ああ、そうか。私は七花さんに惚れていたんじゃなくて、“七花さんに成りたかったんだ”。
あの青年を、あの崖を、あの月を、鑢七花と同等の存在になりたかった。
それは憧れだった。憧れからくる目標だった。いや、目標が憧れになったのだ。
鑢七花と同等になりたかった。そしてまた戦いたかった。あの路地裏の時とは違い、お互い真剣勝負で。
『強くなったよ』と、『七花さんと同じくらいにまで頑張りましたよ』と。
それがいつからか恋心だと変色していたのだ。
そしていつからか恋心は『七花さんを守りたい』と言う気持ちを産み、一周回って『七花さんと同じくらいに強くなりたい』と言う心になり、最初のそれが言い訳に成り下がってしまった。
こうして『恋心』は『憧れ』を塗り潰してしまったのか。
一番最初は全く別物だと言うのに、そう錯覚していたのだ。
――――初心に戻ろう。
また一から出直しだ。
鍛え直して、強く、強く、超強くなってやる。
自分の弱い心にも超敗けない!
今まで殺してきた人たちの命と歩むはずだった人生と超向かい合ってやる!
もしも恐怖が肩を叩いてきたとしても、振り向いて超思いっきりぶん殴ってやる!!
――――だからまだ、死ぬわけにはいかない!!
超、生きなくちゃならない!!
ここで死んだら、何もかも超終わりだ!! 元も子もない!!
立て! 立ち上がれ! 生きろ! 縋ってでも生きろ!! そして――――――
『絹旗を助けてはくれまいか』
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