過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/02/04(月) 01:06:03.32 ID:ouorT+Ut0
“彼らは誰一人と鑢七実に賭けていない”。だから七実の優勝する確率を1%でも下げようと、絹旗の勝率1%に全てを賭けた。ベットのは金でも土地でもない。絹旗自身の命。
絹旗が敗けても、元より死ぬ運命だった小娘一人。その命は一円玉よりも軽い。
「〜〜〜〜〜っっっ!!!」
だが、ここから叫んで怒ってみても、七花が乗り込んでみても、状況は全く変わりはしないだろう。
結局、とがめはここで見ているしかなかったのだ。
「…………絹旗、逃げろっ!! お願いだ!! 後生だ!! お前にはまだ未来があるだろう!? 私の様な死人が死のうが、もとより死んでおる!! 変わりなどない。変わりなどしない!! だがお前は生きている!! 死んではならん!! 私の代わりはお前だ! お前しかいない!! だから逃げろぉ!! 逃げてくれぇ!!」
その叫びも、聞こえない。聞こえていない。聞こえる筈がない。この壁がある限り。
「………お願いだ…。絹旗……七花には、そなたが必要なのだ……私ではない。私の様な死人は、奴の隣には居てはいけないのだ………だから絹旗、戦わないでくれ。頼むから……」
とがめは泣く。
かつて復讐に燃え、鬼となった鬼女が目から涙を流して訴える。
聞こえる筈がないと言うのに。
後ろで七花はとがめの言葉の意味に戸惑いながらも、驚いていた。
まさかあの傷で立ち上がってくるとは。
だがもう無理だ。立っていられるのがやっとという話ではない。立ち上がってきたこそが奇蹟だ。
「絹旗、もう、楽になれ……」
目を瞑りたくなる。
それは涙で顔を濡らす二人の少女も同じだった。
「きぬはた……きぬはた……」
「もういいのよ!! 結局生きているだけでいいから、戦わないでいい訳で……!!」
喉から血が出る程叫んでいる。
だが絹旗はそれを拒んだ。こちらに血だらけの掌を向ける。
『手出し無用』
そう、絹旗は笑っていた。全てをわかっている笑顔だった。
「……絹旗」
『わかってます。とがめさん』
スピーカーから声が聞こえる。
わかっているものか。きっと、何か叫んでいるのを見て、雰囲気だけで理解しているだけだろう。
血まみれの喉から出る声はかすれていた。
『七花さん。とがめさん。滝壺さんにフレンダ。超ごめんなさい。ここは許してください。ここだけは戦わせてください。ここだけは、譲れませんので……』
と、言っただけで絹旗は翻す。
それが、最後の会話に思えた。
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