過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/04/02(火) 03:31:09.18 ID:2lbVeYvl0
「ッッ!?」
茶碗と箸を持ったまま固まる。
のんびりとした朝の一時にいきなり爆発と白煙だ。無理はない。だが不思議と茶碗の中の茶を溢さなかったのは、彼女の幸運ゆえだろう。
白煙はモクモクと漂う。視界は白い闇に包まれたブラックボックス。何も見えない。だが、その中に人の気配だけがあった。それだけが確かに確認できた。
日の光が彼を照らし、煙はスクリーンとなって彼の影を映し出した。
「……………………」
影はキョロキョロと挙動不審に辺りを見渡す。
影からして、その人物は男であることが分かった。身長は160.6cmで、痩せ型。髪は腰まで長く、神裂と同じようにポニーテールでまとめていた。
一見、女にも見えなくもないが、気配や立ち振る舞いからして男のそれだったし、女性らしい体のラインではなかったから、男と判断した。
そして、最も大きな判断材料が一つ。
「ふむ……困ったでござる」
この、世界中の女子たちを魅了するような甘くて低い声。優雅で気品。泰然自若を絵に描いたような口調。
「――――……………ハッ」
そんな声に一瞬聞き惚れてしまった神裂は正気に戻る。
茶碗と箸を置き、代わりに傍らに立て掛けてあった七天七刀を手に取った。
その男に問う。
「………何者ですか」
男は答える。
「いや、気にする事は無い。拙者は、剣客だった、ただの男でござる」
「……………?」
怪異な返答だった。投げた野球ボールがバスケットボールになって返ってきたような、そんな見当違いな返答。
それでも神裂は質問をした。ただ、この男が何者かであるかを知らなければならない。
「………何しにここに?」
「何しにも何も、拙者は気が付いたらここに着いてしまったのだ、と言えばわかるでござるか。聖地巌流島にて鑢七花殿との決闘に敗れ、死した拙者は極楽浄土に向かうと思っていたのだが………。ここはそう言う場所ではないのでござるか?」
「……………?」
ますます怪異的返答が帰ってきた。バスケットボールを投げたらバランスボールが返ってきた。これ以上問答を続けていたら、ますます話はこじれる。
「ここはあの世ではありませんよ。極楽も地獄も無ければ、三途の川も冥府も閻魔大王もいませんよ。ここは列記とした人の世です。」
「………………ふむ、そうでござったか。全く理解が出来ぬが、拙者は二度目の生を授かったと思えばよかろうか……。礼を言おう、そこの御仁よ」
その時、開けた窓からそよ風が流れ込んできた。
部屋に漂う白煙を、箒で払う様に一掃する。
同時、男の姿が現れた。
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