過去ログ - 魔法少女×仮面ライダー まどか&W SS大戦GIGA MAX
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50:1[saga]
2012/02/29(水) 23:21:42.72 ID:5EpYoG++0
さやかはまた、病院に来ていた。
大好きな幼馴染、上条恭介を見舞うためだ。
彼への見舞い品として今日も買ったCDを抱えて、病室の前で深呼吸。
意を決してドアを開け、いつも通りにCDを渡して……怒鳴られた。

「さやかは、僕をいじめてるのかい?」

そんな言葉が彼の口から出たなんて、信じられなかった。
でもそれは、厳然たる事実で。

「自分で弾けもしないバイオリンなんて、聞きたくないんだよ!」

恭介は怒りのままに左腕をCDプレイヤーに叩きつける。
鮮血が、ベッドに飛び散った。

「や、やめて! 恭介、落ち着いて! だ、だいじょうぶ、治るよ、諦めなかったら、きっと、いつか治るよ」

制止の声も、震えてしまう。
何が彼をここまでさせたのか。
何が彼をここまで追い詰めたのか。
――自分の、考えの浅さだ。

「諦めろって、言われたのさ……奇跡か、魔法でもない限り……この手は、治らないって……」

奇跡か、魔法。
そう言われて思い付くものはあったけれど。
奇跡も魔法もあると、そう知ってはいるけれど。
それについて知った真実を考えると……とても、言い出せなかった。

「ごめん、なさい……ウザかったよね、嫌だったよね……ごめん……」

涙が零れそうになる。駄目だ、泣いちゃいけない。恭介は、あたしなんかよりもっと辛いんだから。
結局あたしは病室を出るまで、意味のない単語を並べて謝り続けることしかできなかった。
病室を出てからは、無意味に自分を責め続けることしかできなかった。
そして――失意の帰り道、キュゥべえに出会った。

「……真実を知ったうえで、君がどう行動するかは君の自由だ」

「しかし、僕は君に、偽りの希望を与えてあげられる。それもまた、事実だ」

「どうだい? 美樹さやか。君は、今も――いや、違うね。今は、契約を望んでいるかな?」

そうだ、契約すれば。
契約して、恭介の腕を、いやどうせなら全身治してもらえばいい。
そうすれば、恭介を傷つけたことに対して、お詫びが出来る。
例え恭介にはそれが知られないとしても、それがただの自己満足だとしても。
それはあまりに魅力的な提案で、あたしに抗う術などなかった。


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