過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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22:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga sage]
2012/03/05(月) 00:57:24.66 ID:Lt4OQ3a6o

その話は、上譲渡しても早く済ませたい。
誘ってくれたのを無碍にするのは、ちょっと心苦しいところはあったけれど。
でも、上条には、姫神よりも、優先して接してあげたい女の子が、他のいるのだ。

「私と一緒に。その……ペア競技に。出てくれないかな」

その仕草を、改めて可愛いと上条は思った。
制約がなければ、きっと頷いたことだろう。それも、心のどこかに期待を込めて。
あまり喜怒哀楽をはっきりと見せず、また目立った行動をあまり取らない姫神の、真摯なきたいが込められた視線。
もしかしたら姫神は自分のことを好きなんじゃないかと勘違いしたくなるような、そんな目線だった。
そんな妄想をした自分を戒めながら、上条は、気の進まない答えを口にする。

「その……姫神。悪いけど」
「え?」
「ちょっと、別のヤツを探してくれないか」
「あ……」

姫神が、すぐに答えを返さなかった。
頭の回転は速いほうの姫神だ。だからその間は、ちょっと意外だった。
断られた場合のことくらいは考えていても、よさそうなのに。

「何か。用事とか。あったかな」
「……そういうわけじゃあ、ないんだけどさ」

クラス対抗の、全員参加以外の競技には上条は参加する予定がないし。
だけど、そういうことではないのだった。
すこし、思案する。姫神は吹寄の友達だ。吹寄に相談することなしにバラすのは後で文句を言われるかもしれない。
だが姫神だって上条の友達だ。ちゃんと、誠実に説明はしておくべきだと思った。
姫神なら、面白おかしく誰かに噂をばら撒くことなんてしないだろうから。
上条は、姿勢を正して姫神を見つめた。不安に姫神の表情が翳った理由を、上条は理解できなかった。

「姫神」
「何?」
「姫神とペアやれない理由が、あるんだ」
「……」
「やっぱ、付き合ってる彼女に、悪いから」

ふらりと、覚束ない足取りで、姫神が一歩下がった。
その動きと対照に、表情は変わらない。



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