過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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nubewo
◆sQkYhVdKvM
[saga sage]
2012/03/05(月) 01:02:17.10 ID:Lt4OQ3a6o
「あー……」
男子の一人のその反応を見て、上条が頭を抱えた。
同じ男子として、あまりの軽挙に頭痛を覚えたのだろう。
「姫神。とりあえず、俺が先に戻る。質問には俺が答えとくから、悪いけどちょっと時間つぶしてから来てくれ」
「うん……」
上条が、廊下の曲がり角の向こうに潜んでいるらしいクラスメイトに声をかけた。
「ったく、おい! とりあえずお前等の尋問に付き合ってやるから、教室に帰って来い。
姫神にまで迷惑をかけるんじゃねーぞ」
ざわりと、クラスメイトが戸惑いを見せたのが分かった。
足音をわざと立てるようにして、上条は姫神に背を向けて歩き出した。
「あ……」
そこに、未練はなかった。当然だ。自分は、上条の後ろ髪を引かせるような女ではなかったのだから。
ただの友達と、軽いおしゃべりをしただけなのだから。
「待てよ上条!」
「逃げずに教室で待機する気はあるんだろうな!?」
そんなことを叫びながら、男子達が姫神を追い抜いた。
すり抜け際に僅かに向けられた興味本位の視線が、姫神を傷つける。
それを無表情に見送って、姫神はそれでもなお、そこに立ち尽くした。
「男子ってホント気遣いが出来ないよね。姫神」
「……」
「まあ、アンタと上条の仲がどうだとか、あんまり変な詮索はさせないようにするから」
クラスメイトの女子が、ポンと姫神の肩を叩いた。
「……違う」
「え?」
「上条君と。お付き合いしてるのは。私じゃないから」
「……それって」
ハッとなったクラスメイトの女子が、姫神の顔を覗き込んだ。
「もう。これ以上何も話したくない」
「……そうだね。私が謝っても仕方のないことだけど。ごめん、姫神」
「……」
そっと、女子が姫神の背中に手を触れた。抱きしめることはしなかった。
それは、あまりに慰撫しすぎだろうから。姫神のプライドを傷つける気はないのだ。
「保健室で、休憩でもしてきたら? どうせ次は死ぬほど眠たい国語だし」
「……」
僅かに姫神が頷いたのを確認して、ぽんとまた姫神の肩を叩く。
周囲に男子がいないことを警戒する。気遣うことの出来ない馬鹿な生き物に、今は姫神を近づけさせたりはしたくなかったから。
「アンタ体の調子も悪いんでしょ? ほら、連れてったげるから」
笑みを作って、そっと姫神を促した。
その後、教室で起こった出来事に、姫神秋沙は関わらなかった。
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