過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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nubewo
◆sQkYhVdKvM
[sage saga]
2012/03/15(木) 02:00:38.92 ID:iLHIXR/Lo
上条の後を追って、吹寄も教室を目指す。
足取りは、決して軽いとは言えない。
教室に帰ればまた、自分の彼氏と姫神の交際疑惑で盛り上がっているのを眺めなければならないのだ。
もちろん姫神は友達だけれど、姫神がその噂を否定しながら嫌な顔は見せないのを、内心では面白くない思いで見つめていた。
一体いつまで、そんな不愉快な茶番劇に付き合わなければいけないのだろう。
「あ……」
クラスメイトの女子二人が、吹寄とは別方向から教室を離れようとしているのが見えた。
授業がもう始まるこの時間にそんな行動をとる相手を、普段の吹寄なら注意しただろう。
だけど片方の女子が姫神秋沙だったから、吹寄は声をかけられなかった。
姫神に落ち度が無くても、きっと平常心を保てない自分は不愉快な視線を向けてしまうから。
二人の後姿を見送っていると、姫神に連れそうクラスメイトが、こちらの姿に気付いた。
目を見開き、少し驚いた顔だった。そして僅かに笑って「ごめん」という形に口を動かした。
「……」
吹寄に出来たのは、少し頷くだけだった。
すぐに二人は廊下の角を曲がり姿を消した。幸いというべきか、姫神とは一度も視線が合わなかった。
その後姿が気落ちして見えたのはきっと、気のせいではないと思う。
同情はなかった。どうして姫神が付き添いを必要とするほど心折れているのか、薄々感づいてはいたけれど。
吹寄は視線を、もう一度来た道に戻す。
目の前には、もう、教室があった。中に上条はいるだろう。そして、クラスメイト達も帰ってきているだろう。
だから。
「さてカミやん! さすがに観念したん? お昼に充分姫神さんと過ごしたんやし?」
「姫神はお前らが追っかけてただろ。俺と会う時間なんてあったかよ」
「見失った時間は5分以上あったからね。充分やと思うけど?」
「5分で充分ってのはどういう感覚だよ」
「そのカミやんの感覚こそ、実体験に基づいた感覚なんかな?」
――やっぱり予想通り。クラスを巡るのは。これまでと同じ上条と姫神の交際説。
吹寄はいつもより乱暴に椅子を引き、どしんと腰掛けた。
普通の顔が不機嫌そう、なんて風に言われることもある吹寄だが、今の表情はそれを越えてはっきり不機嫌なのが伝わるだろう。
「はーい、野郎どもと子猫ちゃん達ー。小萌先生の楽しい授業があと3分で始まるですよー」
小萌先生が教室に現れたのを見ながら、吹寄は授業の道具を机に出していく。
「ほらカミやん! あと3分もあるんやで?」
「3分しかねーだろ」
「その感覚はどうかと思うね。ってか姫神さんどうしたん?」
「え?」
「……カミやん、まさか激しくやりすぎで」
「俺は関係ねえよ!」
「上条ちゃんがどうしたですかー?」
小萌先生が、見下ろす男子に囲まれて席に座っている上条に興味を持ったらしかった。
この構図を見てもいじめを疑わない辺りは、クラスの連中も信用されているということだろうか。
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