過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」 part2
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nubewo
◆sQkYhVdKvM
[sage saga]
2012/03/15(木) 21:32:41.67 ID:iLHIXR/Lo
――実を言うと、それからが大変だった。
だって少しでも落ち着いたら、自分のしでかしたことがどれだけ恥ずかしいか、さすがに分からないわけがないのだ。
後悔と羞恥で、吹寄は放課後まで顔を上げられなかった。
バカップルをこれまで冷ややかに見てきただったのに、
よりによって、クラスで一番のバカップルぶりを見せたのが自分だったなんて。
……よりによって一番困るのは、バカップルがなぜ衆人環視の中ああいう行為におよぶのか、なんとなく共感してしまえることだった。
「制理」
すぐ傍で、上条が名前を呼んだ。
周囲にはちらほらこちらを見る目がある。なにせ学校からの帰り道だ。
吹寄は初めて、公の場所でべったりと上条にくっついている。
これでもう自分たちが恋人同士であるのを疑うものはいまい。
「どうしたの?」
「いや、なんかさ。恥ずかしくないのかなって」
「……当麻は嫌なの?」
「そんなことねえよ」
照れくさそうに、上条がそっぽをむいた。
上条の答えは的を射ている。自分だって、恥ずかしいのは間違いないのだ。
だけど、それは嫌なことじゃない。
さすがに授業中に上条と離れて居る時はただただ恥ずかしかったのだけれど、
放課後になって上条と触れあえる時間になれば、簡単に心変わりしてしまった。
自分たちは恋人同士なんだと、そうはばかることなく主張しながら街を歩くのが、嬉しい。
「晩ご飯、どうするの?」
「なんにも決めてないな。家に食材はないし」
「……うちに来なさいよ」
「いいのか?」
いいのかと問う上条の声に、少し含みがあった。
もちろん、吹寄だってただ食事に誘っただけでは、なかった。
「大したものは作れないわよ」
「大丈夫だって。こないだ作ってくれた晩飯、美味かった」
「褒めても味は良くならないわよ。……それと」
「ん?」
分かっている顔で、上条がわからない風に聞き返す。
吹寄はつい、拗ねた顔を作ってしまった。自分でも、上条に甘えているのがわかる。
「もう。昼に、ゆっくりできなかったから」
「何をゆっくりできなかったって?」
「馬鹿」
今のは、露骨すぎてちょっとおじさんくさい返しだと思う。マイナスだ。
軽く体を、上条にぶつけて講義する。そのまま抱き寄せられてしまった。
「あっ……歩きにくいよ」
「いいだろ。こんなことするの、初めてなんだしさ。なあ制理」
「何?」
「帰ったら何をして欲しいのか、ちゃんと言ってくれよ」
「こんなところで、言えるわけないじゃない」
「家についてからでいいからさ」
普段は気の強い吹寄だけど、上条に強く言われると、やけに素直になる。
そういう顔を見るのが、上条は好きだった。
こうして、周囲に甘い雰囲気をまき散らし、さんざん怨嗟の視線を集めながら、上条と吹寄はゆっくりと帰った。
二人で見る風景はどれもこれも新鮮で、いつもの帰り道なのにやけに印象深かった。
スーパーに寄れば、新婚生活ってこんな風なのかな、なんて考えたりした。
公園を横切れば、いつもは興味すらわかないはずのはしゃぐ子供たちの姿が、なぜか微笑ましく見えた。
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