206:ブラジャーの人[saga]
2012/04/05(木) 23:38:52.04 ID:QOOU3FJl0
石と砂利と埃で、パタリロの姿は悲惨なものとなっていた。まだ若干むせながら、意味があるのか分からないけど両手で服や髪をはたく。
「まったく、美少年が台無しだ。いや、砂利にまみれるイイ男という諺が日本にあったっけ?」
「無い」
その直後、薄くなった砂埃の向こうから数人が駆けてくる。
「あー! 殿下ぁー!」
「おぉお前達、水をくれ、水」
降りそそいでくる大岩、小岩の中に自ら飛び込み、危うく死にかけたというのに、
パタリロの超然とした態度はどうだ。一方通行は杖にもたれて目を細める。
「ご無事で……!」
「もう心配したんですよ心配したんですよもう〜」
わらわらと、二人の……パタリロの周りにタマネギ隊員が群がった。異常な国王だが、部下達にはこうして慕われているようで、
知らぬこととはいえ、危機に晒してしまった一方通行は少々具合が悪い思いだ。パタリロが勝手に招いたことなので、誰も彼を責めていないが……
一方通行はもう一度電極のスイッチを構い、タマネギ達の肩の間からパタリロに手を伸ばす。
軽く触れ、その一瞬でみすぼらしかった国王の姿は元の清潔さを取り戻した。
空中に撒き散らされた砂や小石に驚き、タマネギ達とパタリロ自身も身じろぎする。
「で、殿下がキレイになった!?」
「失礼な。僕は昔から綺麗だ」
「ふざけてる場合ですか。……一方通行さん、ありがとうございます」
「……礼はいらねェよ」
わずかだけど、「罪ほろぼし」ということで。
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