過去ログ - とある未来の通行止め その3
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252:ブラジャーの人[saga]
2012/04/14(土) 03:33:05.66 ID:HQn0c3FJ0

「もう大丈夫だからね。泣かないで」
「え、見てたの……?」
「君の息子さんに呼ばれたんだよ。お母さんを助けてくれ、ってさ」
「うそぉ!?ってミサカはミサカはお腹の赤ちゃんが喋れるわけないと疑ってみるけど、天使さんが嘘言うとも思えないし……」
「本当」

ミカエルはその場に跪き、打ち止めの右手を恭しく取った。裸を隠してくれていた羽がどいてしまい、打ち止めはちょっと焦る。

「美しいひと。あなたと、あなたの美しい子のために、天使の加護を授けましょう」

「あ……」

ミカエルの唇が、手の甲に触れる。そこからあたたかい何かが、全身に広がっていった。

「一人で泣いてはいけませんよ。あなたのそばにはいつも、あなたの天使がいるんだから」
「……うん」

もう一度羽の中に抱きしめられ、打ち止めは目を閉じた。とても良い気持ちだったが、お腹の子が激しく動いて、意識を覚醒させる。

「打ち止めさんが裸だから怒ってるなぁ。別に狙って来た訳じゃないのに」

(怒ってるんだコレ!?)

「そういうことなので、名残惜しいですが私はこれで退散します。このことは内緒にしてくださいね。特に一方通行くんは絶っ対怒るから」

「あの人のことも知ってるの?」と訊く前に、羽が両目の前にかざされた。反射的に目を閉じ、開いた次の瞬間にはもう天使はいなかった。


(夢?)

思わず頬をつねろうとして、手が湯船の中に沈んでいることに気づく。状況は泣いていた時のままに戻っていた。

「……天使さん、どこ?ってミサカはミサカは声に出して呼びかけてみる」

答はどこからも聞こえない。風呂場の装置からあがる僅かな電子音と、体を動かすと揺らめく水音が響くばかり。

心を覆っていた憂鬱は綺麗に消え去り、体も芯まで温かい。
打ち止めは湯から上がると脱衣所へ向かった。鏡に映る裸を見つめ、特に腹に視線を向ける。

「ありがと」



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