298:ブラジャーの人[saga]
2012/04/24(火) 22:47:08.81 ID:RWe9LCdy0
三十分ほど車を走らせて工房に着いた。三階建の二階の部屋に明かりが灯っていた。一方通行は入口のセキュリティを解除し中に入る。
特徴的な金属音がする作業部屋に、なんとパタリロがいた。しかも彼がカット作業をしているように見える。
昼間に顔を合わせた職人は隅の壁付近でゴロ寝していて、その顔は憔悴しきっている。細心の注意が必要となるこの作業を、
十数時間も続けてくれたのだろう。
「お、こんばんは一方通行さん。御心配には及びませんよ、僕はスパコン手作りする程度に手先が器用なんです」
「……完成までどのくらいだ」
「もう仕上げだけですから……そうだな、二時間くらい」
「待つ」
パタリロから二歩ほど下がった場所に、椅子を持ってきて座る。パタリロは顕微鏡のような機械に再び目を当て、作業を始めた。
一方通行と、この指輪のために一国の王が残業してくれているのである。
二人とも一言も喋らず一時間半ほどが経った。パタリロが前を向いたまま、唐突に後ろの一方通行に声を掛ける。
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