315:ブラジャーの人[saga]
2012/04/27(金) 21:52:54.11 ID:jYGOY3OA0
あっという間に賑やかなお喋りに花が咲く。打ち止めの視界の端で、バンコランが腕時計を気にしているのが見えた。
はっとして壁に掛かった時計を見ると、そろそろ空港に出発する時間だ。
「もうこんな時間かぁ……。ミサカはあの人が起きてないか見てくるね、ってミサカはミサカは一時撤退してみたり」
自分の動作が原因で少女に気を使わせてしまったと悟り、バンコランが済まなさそうにしている。
「疲れているようだったら、寝かせておいてあげたらどうだ。君から宜しくと伝えてもらえば構わんだろうさ」
「うん。…………」
「何か?」
ドアに手を掛けて、打ち止めがバンコランを見つめる。
「バンコランはもうあの人のこと諦めた?ってミサカはミサカは警戒してみる」
「!!? そ、そんな私は横恋慕など…っ、いやいやそもそもマライヒという者がありながら」
ぎょろりとマライヒに睨まれて、バンコランの背中に冷たい汗が伝う。まだ常春のマリネラ国内なのに。
いらぬ波風を立てておきながら、当の本人はその場を去る。
廊下に出たら、今起こしに行こうと思っていた一方通行がこちらに歩いてくるところだった。まだ目が開ききっていない。
「良かった、あなた起きたのね。もうすぐマライヒ達が帰っちゃう時間だよ。ご挨拶に間に合うね、ってミサカはミサカはほっとしてみる」
「そンなのはどォでもイイ」
目が覚めたら妻がいなかったので、探しにきただけである。
「ダメだよー。お世話になったんだから、さよならくらいは言わないと」
一方通行の手を引いて踵を返す。『お世話になった』三人は、いずれもにこやかに青年を出迎えてくれた。
結局空港に出発するまでの僅かな時間を共にすることになってしまった。だって一方通行を逃がすまいと、打ち止めが終始捕まえていたから。
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