358:ブラジャーの人[saga]
2012/05/08(火) 00:54:29.53 ID:nayWyfAc0
入念な作戦会議は続く。
そんなシリアスな空気を読みつつも、あえて流れを断ち切る者がいた。エツァリだ。
「あのー、申し訳ありませんが中断を求めます」
「トイレは先に済ましときなさいよ」
「違います! そんなことじゃありません」
「くだらねェ事だったら承知しねェぞ」
「自分としては重要です。……さっきから、皆さんからの呼び方がひどすぎるんですが」
暗部組織・グループとして活動していた期間、エツァリは『海原光貴』として加わっていた。他の三人からもその名で呼称されていた。
しかし今は、ほとんどの時間を本来の姿で生活している。褐色の肌、黒い髪の彼を見慣れていないメンバーは、つい癖で「海原」と呼んでしまいそうになるのだ。
結果、「うツァり」 「うなツァリ」 「海ばリ」 「エな原」 などという珍妙な名前が、先程からちらほら聞こえている。
土御門はわりかし間違いが少ない方なのだが、
「エツァら、ってなんですか。どうしてそこまで言って最後に『ら』?」
「にゃははは。この雰囲気のせいですたい。昔みたいで、ついついお前を海原と呼んじまう」
エツァリは盛大に溜息を吐くと、「ちょっとだけ失礼します」と言って部屋を出た。
残りの一同が、やっぱりトイレか? しかも大きい方の、と勘繰った頃、彼は戻ってきた。
「……おまたせしました。これでいいでしょう」
「あら、やっぱりその顔の方がしっくりくるわ」
「そンじゃオマエのことは『海原』で統一な」
「不測の事態に備えて用意していた護符でしたが……、こんなことのために」
海原光貴の姿となったエツァリ。あんな間抜けな呼ばれ方をするぐらいなら、この方がマシである。
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