515:ブラジャーの人[saga]
2012/06/09(土) 00:05:05.25 ID:5RhntJUq0
呼び出された担当産科医は個室で打ち止めを診察し、早すぎる変化に戸惑いつつ、分娩室へ運ぶように指示を出した。
妹達が個室に運んできたストレッチャーに、打ち止めは夫の手で乗せられる。おさえることなど、とうに諦めた悲鳴があがった。
「いぃ、いたい! あなたぁ」
「代われるもンなら代わってやりてェが、こればかりはどォしようもねェ。……頑張れ」
「……ひぐ、無理…。痛すぎる」
「頑張ったらなンでもしてやっから」
医師と看護師が先導し、番外個体と一方通行は変わらずに打ち止めの両脇を固めて進む。もうすぐ分娩室だ。
「じゃあ、じゃあねっ、赤ちゃんの名前ミサカが決めてもいい?ってミサカはミサカは頑張り条件を提示してみる…!」
「あァいいぞ。オマエがつけろ」
「やった。えーとねえーとね、ぐぅぅ……」
分娩室は扉が開放されていて、打ち止め達を待っている。芳川桔梗の姿もあった。
「最終信号、そんなことは後でいいから」
「だめ今言っとかないと……」
「縁起でもないこと考えないでよぉ! 産んだ後でいいじゃん!」
ヒステリックな声で、ストレッチャーを叩く番外個体。一方通行は涙が滲む打ち止めの目を見つめて頷く。
「ま、まもる…!」
「どンな字だ」
「えと、〈ごんべん〉のやつっ」
「『護』だな。分かった」
「やったぁぁぁぁぁぁああああ〜いたぁぁぁぁぁ……」という雄叫びを残し、打ち止めの姿は見えなくなった。
「名前決まったのね」
「おォ……」
「君は念のために、バッテリーを一杯にしておいてちょうだい」
そう言って、自分も扉の向こうに身を滑り込ませる芳川。彼女にとって産科は畑違いだが、
妹達の調整を長年手がけてきたことから、お産の間サポートをする予定になっていた。
芳川も一方通行も、自分の出番などないことを祈っている。
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