562:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:06:07.59 ID:Fz6z8l7g0
いくつか見繕っていた式場のひとつに、なんとか空きが見つかった。司祭もスタッフも必要ない、写真撮影だけしてくれ、という条件ゆえに了承が得られた。待機や衣装替えなどの準備をする控室と、教会を一時間ほど貸し切る。
「まだか」
「もういいよー、ってミサカはミサカはあなたにお披露目してみたり!」
先にタキシードに着替え、衝立の向こうで長々と待たされていた一方通行が振り向く。
純白のウェディングドレスを身にまとった打ち止めが、夫の感想を待っている。
「ふゥン。腹は無事に収まったか?」
「ちょっと初めに言うのがそれって失礼すぎ、ってミサカはミサカは全身まっしろのあなたを非難してみる」
「冗ォ談だ。……綺麗だ」
「ふほぉ!? うふへへへ…。でででもダメなんだから。罰はしっかり受けてもらいます。こっちきて。座って」
言われるままに、打ち止めが背後に立つ椅子に腰かけた。彼女はせっかくはめたレース生地のグローブを外して、持って来たヘアワックスを手に取り、
「オイオイ、なにする気だよ」
「大人しくしてったら。……ほらカッコいい! 素敵!ってミサカはミサカは珍しいあなたのお耳をくすぐってみる!」
美容院で髪のセットをやってもらったのは打ち止めだけだ。一方通行は普段と同じ。
「サラッサラヘアーも似合ってたけど、いつもと違って特別なカンジがする、ってミサカはミサカは記念日っぽくて盛り上がってみたり」
両手で白い髪を後ろに撫でつけられ、前髪部分以外が後方へ流された。
風呂に入って濡れているわけでもないのに、両耳が露わになって落ち着かない。
それは昨日からの高揚と相まって、より青年の心をはやらせた。
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