62:ブラジャーの人[sage]
2012/03/17(土) 00:35:47.07 ID:KlEKmZVX0
打ち止めが弱っている。
つわりに悩まされているのだ。いままで好きだった食べ物が、急にそうでもなくなったり。
料理を作ろうとして、その匂いに気持ち悪くなったり。
炊きたてのご飯の匂いに吐き気をもよおしたのには、打ち止め本人も驚いていた。
そう、一番の問題は吐き気である。
食べなきゃいけないのに、食べられないのだ。
「食欲ないの……」
「無くても、ちっとは食わねェとだめだろ……。ほれ、一口、二口でもいいから」
「ん。……あーん」
一方通行は職場の事務所に出掛けても、頻繁に自宅に戻り打ち止めの世話を焼いた。キッチンに立つのも億劫な妻に代わり、口にできそうな料理を拵えたりすることも。あと、洗濯物も畳むようになった。
「まるであなたが主夫みたいね、ってミサカはミサカは不甲斐ない奥さんで申し訳なかったり」
「ンなこと気にするな。まァそう思うなら、食ってくれれば俺の気も休まるンだが」
「あはは、うん。頑張るよ、ってミサカはミサカはお皿を空にしてみる」
「おォ。少量ずつでいいらしいから、また食える時に食え」
「はーい」
まだ注意が必要な妊娠初期とはいえ、まるで重傷患者のように寝てばかりで過ごすのは良くない。打ち止めだって、家事はこなすし、番外個体や下位個体が愛犬の散歩に行く時は、手ぶらでゆっくりとお伴したりする。
ただ、クローン体である我が身は、いくら注意しても足りないことはないだろうと、一方通行の献身に甘えさせてもらっているのだ。
(ベクトル操作で赤ちゃんのこと丸分かりだもんね。きっとこの人の方が、ミサカより『お母さん』なのかも?)
早く、自分も胎動というものを実感してみたいものだ。ほんの僅かにしか膨らんでいない腹を擦る打ち止めであった。
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