7:ブラジャーの人[saga]
2012/03/08(木) 00:30:51.70 ID:36IvKIcU0
一方通行と打ち止めは、そのまま病院で一泊することにしたが、一方通行だけは一度自宅に戻った。
ブランカに夕飯を与えなければならないし、着替えを用意するために。
病院の駐車場に運ばれていたポルシェでマンションに近づくと、部屋の電灯が点いていることに気づいた。誰かがいる。
玄関を開ければ、長く不在にしていたため寂しかったのだろう、愛犬が飛びついてきた。犬の頭を撫でながら、照明が灯るリビングへ。
ソファでくつろぐ番外個体が、そこにいた。
「おかえり。散歩と、ご飯はミサカがやっといてあげたよ」
「……おォ」
彼女も、ミサカネットワークを通じて知っているはずだ。打ち止めの妊娠を。自分達の結婚を。
「あはっ、その青くなってるほっぺが黄泉川に殴られたトコ? お姉様に突っ込まれたお腹も見てみたいなっ」
「やかましィ。……着替えを取りに来ただけだ。すぐ病院に戻る」
「ふぅん」
「この部屋にいてェなら好きにしろ。ついでだからブランカの朝飯もまかせる」
「まぁいいけど」
玄関に歩いていくご主人様を、名残惜しげにハスキーが追いかけてくる。今日は朝からずっと出掛けていて、かまってやっていない。
「悪ィなァ。明日までは、ちょっと忙しいンだよ。番外個体で遊ンでろ」
「くーん」
靴を履いて、いざドアを開けようとしたら、
「ねぇ、最終信号は……」
「……大丈ォ夫だ。心配すンじゃねェよ」
廊下の壁に左肩を預けた番外個体も、一方通行を見送っていた。
「心配するなと言われても、今ネットワークはお祭りと心配の嵐なんだよ。無理言わないで」
「……お祭りだァ?」
「良くも悪くもね。ただこのミサカに、あなたを殺してやろうという衝動が起きないのは、そういうお祭りなんじゃない?」
「………」
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