過去ログ - 吹寄「―――がんばりなさい、鋼盾掬彦」
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33: ◆FzAyW.Rdbg[saga]
2012/03/18(日) 21:10:24.05 ID:Xh4vPIL2o


「まず……きみの喉にあるその首輪は、きみを英国に縛り付けるものだと思う。
 記憶を奪う事で、余計な知恵や変な柵から英国に害を為すことを防ぐためだ」


 余計な知恵、変な柵―――もちろんそれは英国の、管理者の理屈だ。

 それは本来、当り前にインデックスが持つべき記憶で思い出で、そして絆である。

 人が人としてあるために必要なもので―――それ故に英国清教はそれを奪った。 


「……たぶんだけど、きみはかつて、望んでその首輪を受け入れた」


 土御門元春が、それを間近で見ていたという。

 聖女を見た、神を見た、そう彼は言っていた。


「きっとそうなんだろう、きみの魔法名が、それを示している。
 ―――それは、どうしようもなく尊い選択なんだと思う」


 dedicatus545

 献身的な仔羊は強者の知識を守る

 遍く悪意をその身ひとつに背負う犠牲の羊

 禁書目録、その在り方はきっとどんな聖女よりも聖女だ


「……でもさ、ぼくは、それを許せない。
 許せないよ、インデックス、気に入らない、なにが献身的な仔羊だ」


 だって、きみはそれを覚えていない

 全てを忘れて、否、忘れさせられてしまっている


「覚えてもいない誓に縛られて、そんな首輪を嵌められている。
 それが許せないよ、そんなの、ない」


 鋼盾掬彦は、それを許せない

 許せない、納得できるわけがない


「だから……ぼくはきみに否定してほしいんだ、かつてのきみを。
 押し付けられた魔法名なんて、捨ててくれ。聖者になんか、なるな」


 犠牲の羊だ、それは

 年に一度神様に捧げられる供物だ


 強要された献身なんて、隷属に他ならない

 そんな荷を、どうしてきみが背負わなければならないんだ



 鋼盾は言葉を紡ぐ

 理不尽を忌み、不条理を嘆き、運命を呪うように




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