過去ログ - 俺「多重世界で完堕ち二巡目か……」 -SS速報VIP

過去ログ - 俺「多重世界で完堕ち二巡目か……」

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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]
2012/03/14(水) 02:11:30.27 ID:UDWic1vAO
【王女】

悪夢のような光景だった。

やっとの思いでこの隠れ里を作り出し、わずかながらの食料で過ごしていた私達は生きていることすら許されないというのか。

その日、やってきた男は毅然として告げた。

男「選択肢を与える。死ぬか、奴隷として売られるか。選ばせてやる」

無論、この隠れ里を見破った時点でただ者では無い事はわかっていた。

けれども、どこか私達は驕っていたのだろう。たった一人で乗り込んできた事とこの里には守り手として優秀なアルケミストがいるということを。

けれど結果は無惨だった。

守り手である彼は首落とされ、体は割かれ、見せしめとして里の入り口に飾られている。

その男の自信は驕りでは無く、純然たる事実だった。

私「……私がこの村の統治者です」

現在は滅んだ王家の血筋。二つに結んだこの銀の髪がその証拠である。

私「私が一人では不服ですか？」

男「不服だな」

私「っ!? ならば……私達は死を選びます」

男「……大したものだな。だが人の心を操る術すら知っていると言ったら？」

私「!?」

男「ふん、冗談だ……確かに……奴隷が一人とゼロでは価値が違うな」

私「…………」

男「お前を買おう。代価は里の奴らの命だ」

唇を噛む。悔しくて泣きそうになる。

けれどーー

私「ありがとうございます」

恭しく下げる頭を撫でられた時、不謹慎にも湧いてはならない感情が湧き上がった。

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