過去ログ - インデックス「当方に迎撃の用意あり」
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227:――暴力は極力避けるもの[saga]
2012/05/05(土) 23:18:50.79 ID:9mEeEzg40

「立場上、言っておかなきゃならないことがあってね」


徐々に徐々に、距離が開いていく。
声が遠く、小さくなっていく。
五メートル、十メートル、二十メートル。


「さっきのアレ、冗談だとはわかってるんだが。できれば二度と、僕の前では口に出さないよう、注意を払ってくれないか」


五十メートル地点に差し掛かったところで一方通行は、反射的に脚の筋肉に休息信号を送ってしまった。
聞こえるか聞こえないか、そこからして微妙なはずの遠吠えに、直近で耳朶をくすぐられたような錯覚を覚えた。
後背を取られたという錯誤が、無意識のうちに首筋のスイッチに指を運ばせていた。

怜悧で、冷酷な、人殺しの声だった。


「二度と会う気もねェが、一応聞いておいてやる。何でだ?」

「簡単なことさ。いくら君でも」


消えかけのろうそくを吹き消すようなか細い呼気が、獅子吼を超える気魄とともに叩きつけられる。
届いた瞬間、夜風が凪いだように一方通行は感じた。



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