過去ログ - インデックス「当方に迎撃の用意あり」
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229:――暴力は極力避けるもの[saga]
2012/05/05(土) 23:20:42.95 ID:9mEeEzg40

ぬるりとした大気の流動が、秒針の刻む無機質な音響と共に世界に帰ってきた。
シャツの下の二の腕にかすかな鳥肌が浮き出る。
頬を血腥い風にはたかれて、一方通行は笑った。


「イイな、オマエ」


今度という今度こそ、心底から笑った。
五十メートル先の神父もまた、純粋な殺意に染まった、何か嬉しいことでも起きたかのような、“イイ”顔をしていた


「――――イイ馬鹿だ」


ほんの少しだが見直してやろう、という気分にはさせられた。
本源を抉り取ってくるような苛烈な殺意の裏に、第一位をも打倒し得る切り札が隠されているから、ではない。

その恵まれた体躯から放たれた威圧感など、肩で受け流せる。
数多の強者と渡り合った自分からすれば、この魔術師は垣根帝督や御坂美琴にすらはるか及ばない。
ステイル=マグヌスは一方通行から見て、論ずるにも値しない格下中の格下だ。

だが。
否、であるがゆえに、そういう問題ではないのだ。
少なくとも今この瞬間において、力の強弱など瑣末なことだった。

ステイル=マグヌスは、自分を倒す算段など微塵もつけていない。
冷静に、沈着に、彼我の実力差と勝ち負けを綱引きできる、利口な“プロ”の眼などしていない。

全身を貫く衝動に任せて、愛する女を想像上で凌辱してみせた下衆を、八つ裂きにすることしか考えていない。
いわば、獣の眼だった。



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