過去ログ - インデックス「当方に迎撃の用意あり」
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230:――暴力は極力避けるもの[saga]
2012/05/05(土) 23:22:02.85 ID:9mEeEzg40

その極まった愚かしさは、一方通行に二人の男を想起させた。

義理もへったくれもない二〇〇〇一人の女のために、己(さいじゃく)に挑んできた最弱(さいきょう)。
魂を売ってでも守り通したい一人の女のために、己(ちょうてん)に牙を剥こうとした無能(ていへん)。

ああいう眼をした底なしの馬鹿は決まって、いざとなったら本当に“ヤる”。
四肢を飛ばそうが首をへし折ろうが敵の喉笛に喰らいついて、死んでも離れようとはしないだろう。


「手の付けられねェ犬っコロが。付けられねェ手は、出さないに越したことはねェな」

「懸命な判断だよ、第一位。僕の前にもう一度姿を現してしまったら、そのときが君の最期だ」

「コワイコワイ。薄汚い捨て犬風情に狂犬病でも遷されたら、堪ったもンじゃねェな」


一対の爛々と濁り輝く紅玉が、熱気を帯びた視線を肌に突き刺してくる。
もはやこれは、獣と呼ぶにもおこがましい――――けだものの眼(まなこ)だった。


「オマエの屠殺処分は俺の役目じゃないらしい。そのときが来たら、せいぜいヒーローのイイ引き立て役になれや」

「舞台袖にすら上がれない部外者が。せいぜい、君の信奉するヒーローの勝利を祈ってることだね」


どこか空々しい捨て台詞を投げかけ合って、殺人者たちは互いに背を向けて歩き出した。
そうして二度と、視線を交わらせることはなかった。



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