過去ログ - インデックス「当方に迎撃の用意あり」
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241:人の上に咲く花など[saga]
2012/05/12(土) 23:07:37.06 ID:3keTbGPj0

「彼女を失ったら、僕は生きてはいられないんだろうな、と思ってた。そのぐらい、大事な人だった」


遠かった。
目が、視線が、見ているであろう世界が、遠かった。
今この瞬間、ステイルはインデックスを見てはいなかった。
それがどうしようもなく、胸を締めつけた。


「息が苦しくなって、眼の前が霞んで見えて、食欲が湧かなくなって、まるで恋する乙女の症状だ。そのくせ、心臓だけがゆっくりと、生きる力を失っていくような気がした。朝起きたら、死んでるんじゃないのか。そう考えている自分が、恐ろしくなった。何よりも怖かったのは、死ぬことを厭っていない自分が、そこにいたことだ。死を、むしろ望んでさえいる自分がいることに、気が付いたからだ。死んだら、あの子のところまでいけるんじゃないのか。そう考えている自分を否定できなかったからだ」


ステイルにとっては、手を伸ばしても伸ばしても届かない、あまりにも遠すぎるあの日。
インデックスにとっては、生まれた瞬間まで遡っても絶対に辿りつけない、「あの日」ですらないその日。
自分は第三者視点でしか彼の過去を俯瞰できない。
それがどうしようもなく、哀しかった。


「気が付けば、あれからもう二年以上が経っていた。僕は結局、いまだ惨めに生きながらえている。要するに、いくら口で『大切だった』などとのたまってみせたところで、僕にとっての彼女はその程度の存在だったのかもしれない」

「人は、忘れるから生きていけるんだよ」

「君がそれを言うか。皮肉かい?」

「私はあなたに、あなたの好きだった人を卑下してほしくないだけなんだよ」

「……この話はここまでだ。お喋りがすぎた」



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