954: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:50:55.01 ID:NWsbYAFGo
  
  よもや、空気を読むスキルに長けたアラクネが勘違いを起こし“こおひい牛乳”を飲み干すような暴挙にでることはあるまい。 
  そう思っていると、 
  
 アラクネ「じゃあ、魔王様。とりあえずコレを飲みましょうか?」 
955: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:51:52.81 ID:NWsbYAFGo
  
 アラクネ「魔王様が飲まないのであれば、後学のために私が飲んじゃいますけど……」 
  
  はっ? ええ? 
  ちょっ、まって。 
956: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:56:37.92 ID:NWsbYAFGo
  
 魔王「や、ちがっ」 
  
  あうあう、と力の入らない両手を掲げて抗議する。 
  だめ、やめて、飲まないで。 
957: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:57:04.14 ID:NWsbYAFGo
  そう言ったアラクネの顔に、意地悪なものは含まれてなかった。 
  わたしの身を案じてそう言っているのだろうと理解できた。 
  
  少しだけ。 
  いやかなり勿体ないとは思ったけれど、ほんの少しの沈黙の後に、うんと頷いた。 
958: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:57:31.30 ID:NWsbYAFGo
  
  ゴクリと喉が鳴る。 
  正直に言って喉は渇いてる。 
  
  が、胃は痛い。燃えるような痛みを発し続けているし吐き気は尚も現在進行形で襲ってきている。 
959: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:58:08.44 ID:NWsbYAFGo
  
  冷たくって、ほろ苦くって、でもとっても甘い。 
  じいん、と身体に染み渡るような感覚を覚えた。 
  
  ──美味しい。 
960: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:58:35.01 ID:NWsbYAFGo
  
 アラクネ「飲み終わったらまた横になって下さいね。その方が楽ですから」 
  
 魔王「うん」 
  
961: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 06:59:36.03 ID:NWsbYAFGo
  
  ゆっくりと体を倒してベッドへと横たわる。 
  確かにこの体勢は楽だ。 
  
  けれど、もし眠ってしまって吐き気が来たら……と思うと怖くて眠れない。 
962: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 07:01:00.69 ID:NWsbYAFGo
  
 魔王「ひゃっ」 
  
  びっくりした。 
  それはとても冷たくて、 
963: ◆H7NlgNe7hg[saga sage]
2012/06/01(金) 07:02:06.44 ID:NWsbYAFGo
  
 アラクネ「苦しいかもしれませんが、少しだけ眠って。そして起きたら少しだけご飯を食べるんです」  
  
  なんとなく、言い返せなかった。 
  アラクネの言う通りにした方が良い気がした。 
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