4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga sage]
2012/03/24(土) 01:40:28.26 ID:g7u4wL9u0
「いらっしゃいませー。お一人様ですか?」
目の前の地獄から目を外しふと入口の方を見てみれば、先程料理を運んできてくれた
いかにもバイトっぽいウェイトレスが、新しい客に応対していた。
接客には慣れているのか、眩しいばかりの営業スマイルにはっきりとした通る声。
そんな明るさを持ってしてこの地獄を運んで来たのかと思わず彼女を恨みそうになり、
しかし悪いのは注文した自分なので精神的八つ当たりもままならず。
少々の自己嫌悪ののちに結局上条はテーブルに突っ伏した。
(俺のせんごひゃくえん(税込)・・・つーか実際一五〇〇円って何日分の食費だ?
カレーとか作ったとしても三日くらいは持つんじゃねーかおい・・・)
思わずそんなことを考える。無理もない、上条当麻は『落ちこぼれ』だ。
この学園都市においてその事実は決して有利に働かない。もっとも全体の六割は
その『落ちこぼれ』であるため、上条は実のところマジョリティに属するのだが・・・。
いずれにしろ、上条が手にする奨学金は決して多い額ではない。
その上、このツンツン頭の男子学生はどういう理屈か頻繁に財布を失くしてしまうのだ。
それだけでなく、時には制服が釘に引っかかって見るも無残に破けてしまったり、
買って間もない携帯が唐突に煙を吹き出したり、
急に寮の蛇口が壊れて洗面所と水道代が大変なことになったり・・・。
別に彼が大変粗暴な人物で、触るもの触るもの壊すような破壊魔神というわけではない。
ただ、どういうわけか。彼――上条当麻はとても不幸なのだ。
幼少の頃から、或いは生まれた時からか。何か原因があったのか、それすらも知れないが。
ともかく上条が気付いた時にはもう、彼は不幸だった。
先の例にしたってその一端に過ぎない。彼の努力や思慮を越えて『不幸』は唐突に現れる。
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