過去ログ - ペルソナっぽい悪魔設定のシェアワでお話を書いてみたい人集まれ
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128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/11(金) 19:55:18.07 ID:6LYAOevjo

 目に入るのは火の海ばかりだった。
 まばゆい光の舌がボロアパートのあちこちを舐め回し、端から劣化させていく。
 ボロボロと崩れる木材。質量を持った熱波。どこからとなく聞こえる悲鳴と怒声。その中にあって、彼女は炎に侵されることなくそこにいた。
 へたり込み、炎に衣服を跡形もなく燃やされながら、涙をあふれるままにさせていた。

「持っていかれた……」

 かすれた声が口からこぼれる。どうしようもなく。
 今現実に鳴り響いているどんな音も耳に入らない。聞こえるのはただ、最後に自分の名前を呼んだ弟の声の残響だけ。
 頭を抱えて悲鳴を上げる。炎熱によるものではなく、もっと致命的な傷による叫びだった。
 弟がいない。弟が奪われた。いや違う。"自分は弟を悪魔に捧げてしまった"!
 どうしようもなく寒気がする。炎に包まれて、しかしそれでも寒気がする。
 遠のく意識の中、彼女は構わず叫び続けた。


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